世界流離日記

『世界流離(さすらい)日記』と読みます。国内外の旅行での喜怒哀楽の経験を中心に投稿していきますのでよろしくお願いします。なお、このブログ上の画像の使用は禁止とさせていただきます。

#221 東京で『触れる美術館』に行ってみた。② (2019.8)

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ここでは、点字ができるまでの歴史が学べます。



前回書いた大内先生のライブラリの後に、企画展『ふれる博物館』に行ってきました。同じ高田馬場にあるので、ハシゴがオススメなのですが、『ハシゴする人はなかなかいらっしゃりませんねー』とスタッフの方に言われちゃいましたが。笑

 


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場所は高田馬場駅の早稲田口を出て、早稲田通りをひたすら東へ向かいます。そして、馬場口の信号を東側に左折すると左手にトヨタレンタリースがあるのですが、そのお隣です。この看板が目印です。ライブラリとの距離は徒歩5分ほど。近いし、ハシゴすべき!(しつこい?笑)

 


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ビルの入口に博物館のポスターがあり、エレベータで2階に行きます。なお、1階エレベータの先にトイレがあるのですが、かなり綺麗なので安心して使えますよ。

 


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この博物館では、点字についてはもちろん、点字ができるまでの歴史も学ぶことができます。お子さまの自由研究にもオススメ。2階にあるこのポスターも、おはじきで点字(ふれる はくぶつかん)が打たれているのが可愛らしいのです。

 

 

受付では、予約している場合は名前を伝えます。私は予約しましたが、当日混み合っていなければ当日飛び込みも可能だと思います。予約は電話予約のみ。とても感じの良い対応でした。

 

 

荷物を預けて、見学へ。なお、撮影は自由にでき、スタッフが説明をしながら一緒に廻って下さります。

 


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入るとすぐに出迎えてくれたのが触ることのできる『最後の晩餐』でした。そう、先ほど訪れた大内先生の作品です。ライブラリにはなかった理由がわかりました。ここに貸し出されていたのですね。偶然にも見ることができて良かったです。

 


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この最後の晩餐はもちろん触ることができました。さらに、ユダが手に持っている布袋のレプリカが絵の前に置いてあり、絵以外からもイメージがつきやすくなっています。絵で表現できなかった部分を説明や実物で補い、視覚障害者の方が絵のイメージをしやすいように工夫されていました。

 

 

もちろん、絵の概要を知っている私たちと比べ、視覚障害者の方がこの絵を触って完全に理解できるかというとそれは難しいのですが、ただの平面の絵と比べると凹凸でかなりイメージの補足になっており、大内先生の努力や工夫にはただただ頭が下がるばかりです。



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2020年東京オリンピックパラリンピックのエンブレムが立体コピーで作られてました。キャラクターも立体的に作られたものが展示されていましたが、ミライトワ(オリのキャラクター)は修復中とのことです。笑

 

 

 

さて、ここからは点字が生まれるまでの学習ブースです。

 


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点字が生まれる前にも、盲人用の文字があったそうです。

 


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まずは『紙折文字』。紙の端を折り、その折り方で文字を表現していたようです。一文字あたり1枚の紙だと、簡単なメモでもものすごい量になりますね。

 


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続いては、玉と糸で作られた『通心玉』。スタッフさん曰く当時は真珠で作られていたとのことです。

 


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大玉が母音、小玉が子音を表している組み合わせで表現されているのは点字と共通しています。が、これも一文字あたりの手間がかなりかかるので点字と比べると実用的ではないですね。

 


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こちらは『こより文字』と言って、紐で草書体のような繋ぎ文字を作っています。不勉強な私には全く読めないですが、当時の視覚障害者はこれが読めたのだろうか…?

 


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展示ブースはまだまだ続きます。文字に共通しているのは触ることでわかるものが使われていること。これは現在の点字にもつながり、当時の人々の試行錯誤が伺えます。

 


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『瓦文字』は仮名がついた素焼きの瓦です。これも読みとるにはかなりの時間がかかりそう…。

 


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『はり文字』は針のついたスタンプです。戦前のように、右から順に文字を押していきます。

 


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点で書かれたカタカナは触ったら小さな穴があること自体はわかります。が、これも手で触って読めるのかなぁ?って言う感じです。

 


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『ムーンタイプ』はイギリス製。ギリシャ文字のような文字がピースの上で立体的になっているのですが、文字の大きさが小さく、文字を連結させることで、これまでのものよりは実用的なように感じます。

 


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点字ができるまでの経緯がありました。点字を作ったのがフランス人の盲人、ルイ・ブライユであることはあまりにも有名なのですが、実は元々12の点(6×2列)で作られたソノグラフィー(夜間文字)というものが軍の命令用に発明されており、それをブライユ氏が6つの点字(3×2列)で作り直したということをここで知りました。ソノグラフィーを作ったシャルル・バルビエ氏がいたからこそ、ブライユ氏もそれをヒントに簡素化に成功し、指先だけで瞬時に識別できる6点点字が生まれたんですね。いやはや、素晴らしい。

 

 

そのブライユ式(アルファベット)を日本式(仮名)に作り上げたのが石川倉次さんなのですが、それが完成し採用されたのが1890年。今から約130年前のことです。これにより、視覚障害者も文字の読み書きが容易になりました。

 


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当時の点字盤が展示されていました。一番左はフランス製で、紙を挟んで点筆で打つことは今と変わりませんが、紙の下の盤に横線の溝があるため、実際に打ってみたところ点字の位置がずれがちでした。さすがはフランス製、アルミでおしゃれなんですけどね。

 


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あと二つは日本製で、このタイプは今でも盲学校の備品で見かけるタイプです。盤が木のため、柔らかくてとにかく打ちやすい!右のは小さい文字のため、打ちにくかったですが。でも、持ち運びには向いてるし、小さくてかわいい点字にほっこり。しかし、あんなに小さくても正確に読めるのかしら?

 

 


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タイプライターにも歴史あり。一番左のものは現在のものと左右の指の位置が異なるため、とにかく打ちにくかったです。今のものと違って、点字盤みたいに上から押して凹を作るタイプのようです。

 


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博物館内に点字の資料や50音一覧表があるので、それを見ながら点字を打つこともできます。スタッフさんが教えてくださると思うので、是非体験してもらいたいです!

 

 

博物館には他にもユニバーサルデザインの日用品が展示されていました。例えばどんなものがあるかと言いますと…。

 


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シャンプーにはギザギザが、牛乳には切り込みが、お酒、ゆかり、味の素、ケチャップ等には点字がついているのをご存知でしたか?我々晴眼者にとっても、シャンプー中に目が開けられないときにシャンプーとコンディショナーの違いがギザギザでわかるので便利だし、牛乳と低脂肪乳も切り込みですぐにわかるので便利ですよね。あとは、ここにはなかったですがアヲハタジャム、キューピードレッシング、油あたりにも点字表記がついています。

 


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ちょっとわかりにくいですが、この水ペットには『水』の漢字と点字が!これは知らなかった。キリンさんの企業努力、すごいよ!

 

 


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あとはルイ・ブライユ氏の生家がミニチュアで展示されていました。パリ郊外に、実際に現存しているようで、私のガイドをしてくれたスタッフさんは昨年訪れたそうです。



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色々と資料を頂いたり、説明を受けたりして大満足の1時間でした。私は点字に携わる仕事をしており、点字を学び始めたのは4年前。ルールさえ知ってしまえば、ローマ字のように母音と子音の組み合わせが基本なので簡単に覚えられました(でも、目で見て読み取ることはできても、触って読みとることはまだできません)。

 


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点字って視覚障害者のための文字ではあるのですが、身近な表示にも併記されています。読めるようになると楽しいし、もっと色んな方に点字のことを知ってもらいたいなぁ。こちらは夏休み中の水曜、金曜、土曜に開館してるので、このブログを読んで少しでもご興味を持たれた方には是非行っていただきたいです。無料です。笑

 

 

 

~おまけ~
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少し遅めのランチはミャンマー料理高田馬場駅への帰り道に見つけたのです。この料理はナンジートウと言う、カレー味の焼きうどんでした。味はまずまず。

 


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でも、私はやっぱりシャンヌードルが好き。日本では食べられないのかしら…。笑