#075 バリ島でケチャを鑑賞してみた。 (2014.10)
ケチャ(kecak)とは、バリ島の伝統舞踊。上半身裸の男性たちが輪になり、「チャッチャッチャッ!!」と何度も何度も連呼しながら次々に集団の形を変えていく姿が印象的でした。約3年経った今でも私の耳には彼らの声が残っているし、帰り道に思わず口ずさみたくなるほど、一度聴くと忘れられません。
ケチャにはストーリーがあり、それはどこで見ても大差はありません。簡単に説明すると、こんな感じです。
①半裸の男性陣が輪になり、「チャッチャッチャッ♪ チャチャッチャッチャチャッチャッ チャッチャ♪」と何度も何度も叫ぶ。これは猿の集団を表している。
②魔王が王女に魅了され、何とかして自分のものにしたいと思うが、王女には王子がいる。
③魔王が老人に化け、王女をさらってしまう。魔王は王女に求婚するが拒否される。
④ハノマン(猿の将軍)が王子のもとにやって来て、王子に依頼されたハノマンは王女を探しに行く。
⑤ハノマンは魔王に捕らえられ、火あぶりの刑にされそうになるが、逃げ出すことに成功する。
⑥王子と弟は、ハノマンと猿の集団と共に魔王のもとに行き、魔王を倒して王女を救出する。
歌舞伎同様、化粧や身なりで悪役とヒーローとの違いが明白なので、ストーリーは何となく見ているだけでわかります。半裸の男性陣(猿の集団たち)は常に舞台にいるのですが、BGM的役割だけでなく、時に美しい集団演技をしたり、猿として敵を追い出そうとしたりします。日本人にはキャキャッと聞こえる猿の鳴き声も、バリ島ではチャッチャッチャッで表現されるんですね。興味深いです。
私の持って行ったガイドブックには2か所のケチャ会場の紹介があり、私は2か所とも訪れました。今回はその比較をしてみたいと思います。鑑賞した順に紹介します。
①タナロット寺院
タナロット寺院は島の西側にあるので、日没時に行くのがオススメです。夕陽の名所なだけあり、海に沈むオレンジ色の太陽が本当に美しかったです。これは、バトゥボロン寺院のある岸壁と夕日の写真で、タナロット寺院はこの岩のすぐ南側にあります。
こちらがタナロット寺院。干潮時には歩いて渡ることができます。 写真の左側に人が並んでいますが、並ぶと祈祷師の方から聖水をかけてもらった後、おでこに米粒、耳に花をつけてもらえます。お布施を忘れずに…。なお、寺院自体には、ヒンドゥー教徒しか入れません。
10月半ばの日没時刻は18:00頃なので、ケチャの時間には十分間に合います。
チケットはRp.50000=500円。後で紹介する、ウルワツ寺院の半額の値段で見ることができます。
チケットには18:30開始と書いてありますが、実際に始まったのは19:00前でした。 座席は自由席なので、私たちが入った18:45には前の方のいい席はほぼ埋まっていました。私と旅仲間A子は後ろの方の高台に座って見ることにしました。椅子の席と比べて、前に人がいないので、実は案外見やすかったです。
18:50にケチャが始まりました。白髪交じりのシニアダンサー(痩せ気味)の姿が目立ちます…。よく言えばベテランなのですが、動きはやはり鈍めだったりします…。
次々と姿を変えていくダンサーたちに魅了されます。
ハノマン、登場。
捕らえられ、火あぶりにされそうになりますが、逃げ出します。その時に、足で火を消しながら走るパフォーマンスにプロ根性を感じます。笑
最後に王女を無事救出しておしまい。19:30頃終了です。
私たちは結構楽しめたのですが、ドライバー曰く「俺はタナロットのケチャが嫌いだ!ウルワツのダンサーとは比べ物にならない!ウルワツのダンサーこそがプロだ!」と言ってました。何もそこまで…と、その時は思いましたが、ウルワツに実際に行くと、彼の言っていたことがよくわかりました。
この日は、昼過ぎにウブド地区に到着し、ホテルの人に車をチャーターしてもらい、A子と二人でタマンアユン寺院→ジャティルイ→タナロットの順で廻りました。結構ハードスケジュールでした。
ドライバーのバグース氏は個人的にチャーターの交渉しても、かなり安い値段でバリ島内の移動などもしてくれるようです。いつも、『いつ、バリにまた来るんだ?』と言うメッセージをもらうのですが、私はなかなか行けないので、興味のある方は私の代わりに行ってあげてください。笑
公共交通機関のないバリ島では、車を1日チャーターして、行きたいところに連れていってもらうのが一番効率がいいです。バグースはチップも請求しなかったし、片言の日本語も話せるし、安全運転で信頼できるドライバーです。家族のために、今日も仕事を頑張るバリの陽気なおじさんです。笑
②ウルワツ寺院
ウルワツ寺院はバリ島の最南端にあります。こちらも、美しい夕陽を見ることができ、それを眺めながらケチャが始まるのを待ちます。ウルワツは、デンパサール空港から近いので、私は「ウルワツでケチャ鑑賞→ジンバランで夕食→空港まで送ってもらう」というツアーに申し込みました。私はスミニャック地区にある格安ツアー会社で申し込みましたが、どの地区にもツアー会社はたくさんあるので、宿の最寄で自分の希望に合ったプランを申し込めばいいと思います。
駐車場から少し歩きます。
その際、ドライバーからも言われましたが、野猿に注意です。カメラやメガネなどの光物を彼らは狙ってくるようです。
チケットはRp.100000、つまり約1000円。200円で満腹になれる国ではべらぼうに高い値段設定になります。
会場入口までドライバーに送ってもらい、1人で会場に入ります(A子は既に帰国)。入口で腰に巻く布が貸し出されるので、それを巻きました。18:00開始なのですが、17:30の段階で観光客で席が結構埋まっています。夕陽が沈むのを見ながら待ちます。
18:00になり、ステージ中央に火が灯されます。その頃には、観客席は隙間がないほどの満員御礼でした。
真っ赤な夕陽が海に沈むのとほぼ同時にダンサーが『チャッチャッチャッ』と言いながら入場。総勢50人ほどでしょうか。もう、この段階でバグース氏の言っていた意味がわかりました。声のボリュームが違います。そして、若さもやる気も違います。笑
ショーの前に儀式らしいものがありました。聖水を振りかけていました。厳かな雰囲気。
王子と王子がまず登場。それを歓迎するように、チャッチャッチャッというダンサー達。動画が見せられないのが残念ですが、とにかくすごいボリュームなのです。
写真の左側に白いハノマンがいるのがわかりますかね?
ウルワツでは、観客席からハノマンが登場します。ハノマンが何回も観客席にやって来るので、私のすぐ近くも抜けて行きました。
火あぶりの場面はタナロット同様、ハノマンが火の上を走りました。熱くないのかなー?
終わり方は同じような感じですが、こちらの方がハノマンが英雄のような感じで終わっています。
ウルワツのハノマンは観客席から走り抜けて来たりするので、運動神経&サービス精神半端ないと感じました。笑
19:00頃にショーは終了。その後、希望者はダンサーやパフォーマーたちと写真撮影が
できます。
みんな、快く写真を撮ってくれますが、ハノマンなどの人気キャラは並んで待ったりしなければなりません。ハノマン、近くで見るとこんなに怖い顔をしていたのね…。私の左目が若干モノモライで腫れているのが悔やまれますが…。笑
まとめ
ケチャを見ることが目的なら、絶対にウルワツがおすすめです。本当に動きも声も全然違います。タナロットの2倍の値段を払う価値あり。でも、タナロット寺院の夕陽はオススメなので、ウルワツに行く時間がない方はタナロット寺院→ケチャという流れもまぁアリだと思います。(そこまでケチャに求めないのであれば…。orとにかく安くケチャが見たいのならば…。)
2つ行く場合はタナロット→ウルワツの順で行くといいです。逆の順で行くと、たぶんガッカリ感半端ないと思います。笑
個人的には、私のように空港に行く前にウルワツに寄る感じがルート的にはいいと思います。飛行機の時間にもよるかもしれませんが…。
バリ島に行かれた際は、是非ケチャ鑑賞を!たぶん、私みたいに、しばらくチャッチャッチャッと口ずさむことになること必至です。笑