#035 ブータンの学校に潜入してみた。 2日目 (2017.3)
ブータンに入国して3日目なのですが、カリンを昼には出ることになっているので、朝のうちに荷作りを完了させてから、朝食をとりました。
3月21日 午前
朝食
すいとんの中にドライビーフが入っていました。このドライビーフは前夜も登場したのですが、食感がマトンみたいで私は大好きな味です。
出発準備
昨日同様、ゴとキラに着付けてもらいました。 Mさんと私は、キラを交換したので、2日目の私は鮮やかなキラを着用しました。
そんな中、隣接校の生徒がYちゃんの家を訪問しました。どうやらKの家の近くに住んでいる子みたいで、Yちゃんの家に泊まったKの代わりに、K家秘伝のアラと呼ばれる蒸留酒を持ってきてくれました。本当は前日にKの家にお邪魔するときにいただくはずだったものを我々のお土産用にペットボトルに入れて持ってきてくれたのです。
教師の私物を、生徒を使って運ばせるという行為、日本ならアウトだよね。しかも、中身は3キロほどの酒。ましてや、謎の外国人へのお土産。笑
彼にはお礼に日本のお菓子をあげました。
昼にはカリンを出発するので、まとめておいた荷物を玄関先に置いて出発。Yちゃんの家ともお別れ。忘れ物がないか、改めて家の中を見回します。
そしたら、T氏が発見してしまったのです、私たち女性陣の部屋の扉に描かれているポーを。私たちはありがたいお部屋で眠っていたのですね。ブータンの家には手描きでカラフルな宗教画が描かれているのです。
出発
Yちゃんの家を8:00過ぎに出発しました。 Yちゃん家の朝食の残りをもらった野良犬が気持ちよさそうに日向ぼっこをしながらくつろいでいます。
Yちゃんの家を出て少し歩くと、牛除けの柵があります。
ミュンセリン盲に向けて歩きます。キャンプの時に嗅ぐような、煙の臭いがなんだか懐かしいです。
途中で見かけた、かわいらしい野良犬。思わずカメラを向けてしまいました。
朝礼
8:30になり、昨日同様に朝礼開始。彼はベルボーイとして、チャイムの代わりにベルを打ちます。授業の前後も授業を抜け出してベルを打ちに行きます。 彼は英語の時間でも見かけましたが、真面目で責任感のある好青年でした。
昨日同様、体操の後お祈りの時間があり、心が洗われるような気持ちになりました。
1時間目 英語
前日の授業の続きです。Kが黒板に書いた通り、今度はブータンの児童が日本の生徒に返事を書いたり動画を撮ったりする番です。
前日に宿題だと言ってあったので、みんなきちんとまとめてきました。清書をしています。
ブータンの点字板はドイツ製で、一度にたくさんの文字を打つことができます。日本のだと数行おきに板をずらさなければならないので、これは便利だと思いました。
ベルボーイも一生懸命書いていました。
もちろん、公用語だということもあるんだけど、日本の生徒と比べてスラスラと英語で返事を書く姿はあっぱれ。海外旅行をしていて私自身も感じることですが、自分の国について説明できるってのはとても大事なことだと思います。
全員、動画も撮りました。ちょっとシャイな子も一生懸命頑張っていました。
彼らの返事をMさんがまとめて回収し、4月の授業で返事を渡したそうです。私が中学生の時にオーストラリア人と文通をしていた友達がいて、その文通相手の友だちを紹介してもらい、数年間文通をしたことがあります。自分の気持ちを知っている英語で何とか表現して投函し、 返事が来た時のワクワクした気持ちは今でも忘れません。日本とブータンの子どもたちも、きっと当時の私と同じ気持ちだったんじゃないかなぁ。実際、オーストラリア旅行に無意識にハマったし、きっと彼らもお互いの国を今後も意識するはず。心温まる、Mさんらしい授業でした。明るいMさんの授業はみんなを元気にするパワーがあるのです。
2時間目 美術
こちらも、前日と同じメンバーでの授業です。「現地にあるものを見て、授業を考える」というT氏が前日に閃いたのは、ペットボトルに豆を入れてマラカスみたいな楽器を作るというものでした。Yちゃんが3種類の豆を用意し、それぞれ大きさも色も異なる豆を児童たちが1種類選び、それぞれペットボトルの中に入れました。みんなで振ると、シャカシャカシャカ!!!とものすごい音がして、子どもたちは大興奮。豆ってそんなに音がするんだね。
その後2人組でペットボトルを組み合わせて、巨大なマラカスを作りました。ペットボトルをカッターナイフで切る作業はまだ難しいとのことで、前日に私たちで切っておいたものを児童たちがガムテープで固定しました。
豆って種類によって音が全然違うんだね。私も児童たちと一緒に勉強になりました。全盲の児童も豆を左から右に流して音と豆の動きを楽しんでました。
この2人はとにかく元気で、思いっきりシャカシャカ振っていたら…。
ペットボトルから豆が出てきてしまいました。笑
テープを止めるのが緩かったんだね。こういう失敗を糧に子どもたちは成長します。
前日は粘土を使った初めての創作活動で、今日は身近にあるものを使った創作活動。どちらも児童たちが本当に楽しそうにしていたのが印象的でした。日本から持ってきた最先端のものを使った授業ではなく、ブータンでも手に入る身近なもので美術の楽しさを教えようとするT氏の姿勢は勉強になりました。日本でも、閃きから生まれるT氏の美術の時間は楽しいのです。私は頭が固いから、うらやましい限り。
休憩時間 お別れの会
教員のティータイムの時間に児童に集まってもらい、お別れの会を開いてもらいました。たった1日半のミュンセリン盲の滞在でしたが、私が逆に彼らから学んだことが多くありました。彼らは純粋で勤勉で礼儀正しく、そして何より楽しそうで幸せに溢れてました。ブータンが幸福度(GNH)世界一の国であるというのが納得できました。日本は最先端の文明に囲まれているが故に、当たり前の幸せを見逃してしまっているのかもしれません。と言っても、一度文明に触れてしまった私たちはそれのない不便な生活に戻るのはもう難しいのでしょうが…。
バルション村へ
ガイド&ドライバーと2日ぶりに合流し、ミュンセリン盲からバルションと呼ばれる村まで行きました。我々の荷物は既に車に積まれていました。カリンから車で15分ほどタシガン方面へ向かいました。
バルション村にあるラカン(お堂)に入る手前にあった、六道輪廻図。 生前の行いによって、死後の輪廻転生の行き先が決まるという図です。
地獄か、餓鬼か、畜生か、修羅か、人間か、天上か…。
この絵は畜生かな?カオスです。
大きなお堂でした。敷地もとっても広いです。
天上にも仏教画がありました。
堂内は撮影禁止なのですが、Kがいたので撮影許可が出ました。おそるべし、Kコネクション。笑
大きな銅鑼がありました。
配色も装飾もとても凝っていて綺麗です。日本の寺院にはない配色ですね。
ポー発見。 本日2回目。ありがたやー。
かなり使い込まれた経典。ブータン人は暗誦しているのだろうか。
パドマ・サンババという、チベット圏に初めて仏教をもたらした人物だそうです。険しい像のその下に、国王夫妻の写真が。
お供え物もカラフル。
壁面の仏教画について説明を受けました。ブータンでは、お坊さんやガイドさんはもちろん、一般市民も自分たちの宗教や宗教画について説明することができます。日本にいると宗教を感じる機会は少ないし、その必要性も感じないのですが、やはり外国に行くと日本人の宗教観が異質なんだろうなぁと思います。私は何でもありの日本人の宗教観が好きですが、やはり外国人には不思議がられますね。
帰ろうかと言っていたら、お茶でもどうですか?と言われました。お坊さんたちにお茶を注いでもらい、クッキーと共においしくいただきました。おそらくこれも、Kコネクション。ありがたいです。笑
前記事で触れた、4つの動物画がまたありました。配置は違いますが、絵の意味は同じです。
お堂の駐車場に桜の苗があり、つぼみが膨らんでいました。春はもうすぐかな。
3月21日 午後
カリンのバザールにある食堂でランチをしました。このお店でKのお姉さんが働いています。私はドライビーフのカレーを注文。おいしくて、お土産にドライビーフを買って帰りたかったけど、残念ながら肉無し月だったため買えず…。 また食べたいです。
YちゃんがT氏へドマと呼ばれる噛みタバコをプレゼント。私は嗜まないのでわかりませんが、ミャンマーのキンマみたいな奴かなぁと想像しています。 T氏が帰りの旅路で嗜んでましたが、かなりキツかったようです。
名残惜しかったけれど、ここでYちゃんと涙のお別れ。カリンのバザールでは手に入らないブータン土産を準備してくれただけでなく、キラや手紙もあって、思わぬサプライズに感動しました。Kからのメッセージで"Life is discovery."と書いてありました。確かに人生は発見の連続であり、こうやってYちゃんを通してKやYさんと出会ったのも、ブータンで感じたことも私の人生の上での新たな発見なんだなーと思いました。これからも旅を通してこういう発見を大事にしていきたいです。
カリンのバザールを出て、私たち3人は行きと同じルートでサムドゥプジョンカを目指しました。行きのワクワクした気持ちとは異なる、楽しかった思い出と共に浮かぶYちゃん達との別れの淋しさ。Yちゃんが帰国する来年に、お互いもっと成長した姿で会えるといいな。